野球は野球ボール、バスケットはバスケットボール、サッカーはサッカーボールと呼ばれているのが当たり前の世の中ですが、なぜか卓球は卓球ボールと呼ぶ人が少ないと感じます。
卓球ボールではなくピンポン玉と呼ばれる事が非常に多い。僕の周りだけでしょうか。
卓球は根暗な奴がやるものだった暗黒時代
卓球って普通にスポーツなはずなのにピンポンとかいうちょっと間抜けな別称があるがために華のあるスポーツと認識されなかった時代がありました。
かくいう僕も中学1年生の時(1995年あたり)は卓球部に所属していました。
部員は全部で50名ほどだったでしょうか。男女混合の部でしたが、一生懸命練習をして、更に上手だなあと思える部員は10名にも満たなかったと記憶しております。
その精鋭10名を除いた残り40名は僕を含め根暗な感じの人が多かったように思います。
根暗じゃなくても必ず部活に入らないといけない様な空気があったため渋々入部だけして部活に来ないいわゆる幽霊部員的な人たちもいました。
野球部には華があります。サッカーやバスケあたりも部活として、そしてスポーツとしての華があります。
ですが卓球はどうでしょう。
ピンポンなんて名前で呼ばれちゃったら華なんてありそうな感じしませんよね。
「お前ピンポンやってんの?マジかっこえー!」
とは普通なりません。
ギブとジェームスが犯した罪と悪ノリで生まれた一つの言葉
卓球がピンポンといわれる由来として
ピンポンは、1890年代にイングランドの「ジェームス・ギブ」が、アメリカでセルロイド球を見つけて持ち帰ったことが始まりである。
ギブは上流階級の間で流行っていたバドミントンの前身にあたる「バトルドア・アンド・シャトルコック」のラケットで、セルロイド球を打ってみたところ、ラケットに当たれば「ピン」、テーブルに弾めば「ポン」という音がして、打ち合うことを非常に面白いと感じた。
ギブはこれを、遊技用品とスポーツ用品の会社を経営していた隣人の「ジェームス・ジェークス」に紹介した。
ジェームスもこれを絶賛し、「ピンポン」という名を世界中に商品登録し、1898年にはボールとラケットをケースに入れて、「ピンポン・セット」と名付け発売した。語源由来辞典より
とあります。
つまり当時の二人の会話を想像すると…
ギブ:ちょっとちょっとジェームス君!これで玉打ったらさ「ピン!」って音なってさ、玉がテーブルに当たる時なんて「ポン!」って鳴るじゃんおもしれー超おもしれーよジェームス君!
ジェームス:ぎゃははうけるー!こいつはうけるー!ピンとポンだからピンポンって名前にしようぜギブ!最高だよピンポンぎゃははうけるー!
という事なのです。これが卓球の始まり。きっと二人は酒でも飲んでいたのでしょう。
そんなギブとジェームスの悪ノリで世に出されちゃったスポーツに華などあるわけがないですね。
英語の正式名称はtable tennis、日本語では1921年に城戸尚夫という方がちゃんと「卓球」と和訳してくれているのに、ギブとジェームスがあのさっきの悪ノリで作られたピンポンという言葉がtable tennisや卓球と同等、当たり前のように現在もなお人々に使われています。
では卓球で使うあの白とかオレンジの丸いアレをなんと呼んでいるか
日本では下の画像をなんと呼ぶでしょうか。
上の画像を見ると大抵の方は
「ピンポン玉」か「卓球のボール」または「卓球の玉」言うでしょう。僕の周りだけ?
百歩譲ってピンポン玉ならわかります。
しかしなぜかピンポン玉以外の呼び方になると卓球とボールまたは玉の間に「の」というつなぎが入るのです。
ストレートに「卓球ボール」と言える人は限りなく少ないはずです。
サッカーボールはサッカーボール、バレーボールはバレーボールのようにしっかり「スポーツ名」+「ボール」とすることで名詞として成り立っているのに対し、卓球に関しては「卓球のボール」とか「卓球の玉」のように、変に「の」が入ることでとても説明くさくなります。
かといってピンポンボールなどと言う人はいないでしょう。(中国ではそう言うらしい)
前述したギブとジェームスがあの簡単なノリでもってピンポンなどという造語を作ってしまった事により、その間抜けでどこかキャッチーな言葉によって卓球は華を持てなくなってしまったのです。
実際にアレの呼び方を聞いてみた
ピンポン、ピンポン玉の国民の認知度の高さは僕が妄想で言っているのではないという証拠だってあります。
卓球をやる時に欠かせないあの白とかオレンジの丸いアレ。
みなさんは卓球の丸いアレをなんと呼びますか?
その問いに関して4つの答えを用意したところ
1:ピンポン玉 75%
2:卓球の玉 19%
3:卓球のボール 2%
4:卓球ボール 4%
といった結果になったのです。圧倒的な大差でピンポン玉が独走状態です。
現在103票の投票を得る事ができたので統計としてもまずまず信頼できる結果だと感じます。
また、ストレートに「卓球ボール」と表現するより「卓球の玉」の方が数値が上回っている部分も興味深い結果です。
今後卓球をより華やかなスポーツにするためにやるべき事
今では福原愛選手や石川佳純選手、水谷隼選手などの活躍もあり、一昔前とは卓球の認識が変わってきたようですね。華のあるスポーツとして認識されつつあります。
これから卓球選手になろうと考えている若者も多い事でしょう。
しかしいまだに卓球を根暗なスポーツととらえている人間もいます。
卓球は温泉スポーツではない!!いや、温泉でやってもいいんですが。
真摯に卓球と向き合っている人がこれからやるべき事は、卓球でよく使うあの白かったりオレンジだったりする丸いアレの事を「ピンポン玉」という人を見つけ次第
「それはピンポン玉ではなく卓球ボールですよ」
と訂正してあげる事です。
しかし卓球をピンポンとしか理解できない温泉脳の持ち主は「いや、だから卓球の玉でしょ?」などと返してくるでしょう。だからもう一度諭すのですその温泉脳野郎を。
「違います。卓球の玉でもなく卓球のボールでもありません、卓球ボールです」と。
この地道な訂正活動によってギブとジェームスの悪ノリで生まれたあの忌まわしきワードを温泉脳どもから少しずつ取り除いていくのです。
野球は野球ボールであり、サッカーはサッカーボール、バレーはバレーボールであり、バスケットはバスケットボール。
テニスはテニスボールであり、ラグビーはラグビーボール、ゴルフはゴルフボールであるのと一緒に、訂正活動を経てようやく卓球は卓球ボールとなり得るのです。
ギブとジェームスのおかげでできた卓球ですが、同時に犯した罪もまた重いのかもしれません。
僕がまず先頭に立ち、卓球ボールという名詞を定着させていきたいと思います。