塩ビ管を加工した水耕栽培をやっている方は結構な数いて、僕もその中の一人なのですが。
半地下スペースを使用して塩ビ管水耕栽培をやっていますが、なにせ半地下という特性上太陽光をほとんど使えず、LED蛍光灯頼みでレタスを育てていました。
せっかく太陽があるのに太陽光を使わないのはもったいないなと思い直し、2階の日当たりの良い窓辺付近のモノを大幅に断捨離して強制的にスペースを作り、そこで第2弾塩ビ管水耕栽培装置を作ろうと考えました。
その記録です。
動画は以下参照。
使う電源は揚水ポンプ、エアーポンプ、LED照明に接続するスマートプラグの3つです。
揚水ポンプで一番上の塩ビ管まで水を送り、ポンプと重力で水を循環させ、一番下の貯水タンクでついでに育苗出来るようにしました。
目次
ベースとなる床の作成
記事用の写真はないので動画のタイムコードを添付しながら説明します。
0:00 ベースとなる床の作成
木を使って貯水タンクを乗せる床を作ります。
貯水タンクに使用するのは加工もしやすく価格も安いホームセンターとかに売っているプラスチックの衣装ケースを使ったので、衣装ケースの幅プラス20cmくらいになるようにホームセンターで切ってもらいました。
コンパネ1枚じゃ強度が足りないので、コンパネの下にツーバイ材を差し込んで補強します。
窓の長さより板の長さが長いと、端っこに定植した野菜は太陽光を浴びられなくなるので、ベースの長さは窓と同じ位の長さにしました。
塩ビ管の部品を使って分岐させ、2列で運用する予定だったので、窓際の列と部屋側の列で太陽光の量に差が出てきます。
その差があまりにも激しく、塩ビ管装置を反転させなくてはいけない事態に備えてベースにキャスターを取り付けておきました。今のとこあまり使ってないです。
塩ビ管を乗せる枠の作成
0:37 塩ビパイプ用の枠の作成
2列に組んだ塩ビ管装置を3段設置する為の枠を作成します。
窓の高さの範囲内であれば4段でも5段でも増設可能ですが、塩ビ管同士が近すぎると野菜が成長した時に塩ビ管にぶつかってしまうため、余裕を持って3段にすることとしました。
ツーバイ材をベースに「コ」の字型に組み立てたものを2組作ったものを90度回転させ、上部分を更にツーバイ材で固定することで枠のグラつきを防止します。
アングルを使って床と枠を固定
0:49 床と枠を固定
作った床と枠をアングルを使って固定します。
本来であれば床の裏側からビス打ったりして固定しても良いのですが、いざ水耕栽培装置を解体するような時に、装置自体をひっくり返さないといけなくなります。
上からスマートに解体していけるように今回はアングルを使って床と枠を固定しました。
貯水タンク用の排水ホースの加工
1:21 貯水タンク用の排水ホースの加工
洗濯機とかシンク下で使われる排水ホース(メス)と、それに合う経の配管部品(オス)を組み合わせて、貯水タンクの排水部分を作ります。
配管部品のネジ部分が長く、排水ホース(メス)に収まりきらないので、回し入れた結果ピッタリと収まるように切り落とします。
小さな部品なため手で抑えながらノコギリで切るのが大変です。
以前水耕栽培装置第1弾を作成した時に買った万力で抑えながら切りました。
また、塩ビ管を切る機会が多い方(そんな人は滅多にいない)は、専用のパイプソーを用意しておくと塩ビ管カットが非常に捗ります。
木工用ノコギリでも一応切れますが、引っ掛かりが酷くて使えたものじゃありません。
切り終わったら、配管部品と同じ位か、少し小さい位の穴をホールソーを使って衣装ケースに開けていきます。
開け終わった穴に配管部品を通して排水ホースと連結させます。
水が直接流れる部分なので、漏水防止の為に内側と外側をコーキングしておきました。
塩ビパイプの切断
3:09 塩ビパイプの切断
窓の長さに合わせて塩ビ管を切断します。
今回2列3段合計6本の塩ビ管が必要でした。
ホームセンターでは1m、2m、4mなどの長さで販売されていますが、長ければ長いほど単価が下がるので、大量に欲しい場合は4mを購入して自分で切ると良いです。
確か2mで1300円なのに、4mは1600円みたいな感覚です。
万力とパイプソーを使って、窓の幅に合うようにカットしました。
床と枠、塩ビ管の塗装
3:38 枠の塗装
防腐処理とかを考えなければ、実際のところ塗装はしなくても問題ないですが、今回はちょっとだけかっこよくしたかったので枠と床を濃い茶色に塗装しました。
外国感を出したかったので塩ビ管を白に塗装しようと考え、ちょこっと調べたところ【塩ビ管にも塗料はしっかり乗る】という情報をゲット。
さっそく塗って1日乾燥させた後、塩ビ管の表面を爪で軽くこすってみたらバリバリに剥がれたので「あの情報なんなんだよ」とか思いました。
動画内で一番上の塩ビ管装置の色だけが白なのはこのせいです。
塩ビパイプの組み立て
4:13 塩ビパイプの組み立て
注水口から水が入って左右に分岐し、2列の塩ビ管内を水が通ったのちに再度合流して排水され、排水された水が2段目のの塩ビ管装置の注水口に注がれます。
分岐部品やエルボーを使って「ロ」の字型に組みます。
自分の中の隠れテーマに「解体可能な装置」があったのでやってませんが、本来であれば接続部分に塩ビ管用の接着剤を使ったり、接続後にコーキングしたりして漏水防止に努めた方が良いです。
今回の設計ではそういったボンド的なものを使いませんが、例え水漏れが起こったとしても、下の貯水タンクが漏れた水を受け止めてくれる構造になっています。
また、接着剤を使わないことで、塩ビ管内の水位をコントロール出来るという利点があります。
分岐する部品を合流部分でも使用するのですが、合流部分の分岐部品の角度を手で回して変える、例えば上向きに回せば水位は高くなり、下向きに回せば水位を低くすることが可能となります。
水位が高すぎると根が酸素不足となり根腐れを起こしてしまうので、のちに良い感じで水位変更出来るように接着剤を必要としない組み方にしました。
塩ビパイプの穴あけ
5:51 塩ビパイプの穴あけ
ホールソーを使って育てた苗を定植するための穴を塩ビ管に開けていきます。
貯水タンクにて育苗ポットを使って苗を育てるのですが、育苗ポットごと塩ビ管に定植したいので、育苗ポットが入る大きさの穴を開けられる刃を選びましょう。
穴と穴の感覚ですが、隣同士の葉と葉が重ならないように中程に育った苗は大体15cm間隔、大きく育ったレタスは30cm間隔位にしました。
上段は1列10穴が2列で20穴、中段と下段の塩ビ管は1列5穴が2列で10穴ずつとしました。
穴を開けた切り口にバリが出た場合(必ず出るけど)はヤスリなどで研磨しましょう。
塩ビ管内部に削りカスや切りクズが溜まるので内部を水で洗い流します。
塩ビパイプキットの設置
6:48 塩ビパイプキットの設置
組んだ塩ビ管装置を作成した枠に乗せていきます。
上段の排水ホースを中段の注水口へ、中段の排水ホースを下段の注水口へ、下段の排水ホースは貯水タンクへ差し込みます。
揚水ポンプの設置
7:24 揚水ポンプの設置
貯水タンクの水を上段の塩ビ管へ送るための揚水ポンプを設置します。
藻の発生を防止するため、ポンプに取り付けるホースは透明なものではなく「防藻」仕様のものを選びます。
また、今回の装置に関しては高さが180cmほどになります。
揚水ポンプを買う際に最大揚程距離が装置の高さを上回る商品を選ばないと、水を上まで送ることが出来ないので注意が必要です。
ポンプに防藻ホースを取り付けたら一番上の水耕栽培装置の注水口までホースを伸ばして差し込みます。
貯水タンク表面の加工
8:16 貯水タンクの加工
貯水タンクの代用としてプラスチック製の透明な衣装ケースを使用するのですが、このまま使ってしまうと太陽光が直接ケース内の水に照射されてしまい、ホース同様に藻が発生してしまいます。
太陽光を遮断する為、アルミシート(レジャーシート?保温シート?)と両面テープを使って衣装ケースを囲いました。
苗用の発泡スチロールの加工
8:38 苗用の発泡スチロールの加工
貯水タンクで育苗しますが、育苗ポットの支えの高さが固定の場合、水が減って水位が下がると根が水に届かずに気づいたら枯れてしまったりする可能性があります。
発泡スチロールに育苗ポットが入るほどの穴を開け、育苗ポットをセットし、発泡スチロールを貯水タンクに浮かせておくことで、例え水位が下がっても水位に合わせて発泡スチロールも下がります。
衣装ケースの底の長さを計り、発泡スチロールはそれより少し小さい位の大きさに切り出します。
発泡スチロール発泡スチロール言ってますが動画で使っているのはスタイロフォームです。
発泡スチロールだと切断面がボロボロになってどうしても見栄えが悪くなってしまいます。
ペン型のスチロールカッターを使おうか悩んだのですが、60個分の穴をスチロールカッターでチマチマ開けるのが面倒になり、渋々ですがスタイロフォームに変更しました。
液体肥料入りの水の投入
9:26 液体肥料入りの水の投入
ほとんどの準備が整ったので、液体肥料入りの水を貯水タンクに入れていきます。
僕は旧大塚ハウスの液体肥料を使っていて、EC値が1.3前後になるように調整しています。
貯水タンクいっぱいに水を入れたら一度揚水ポンプの電源を入れて水を上段塩ビ管装置へ送り、貯水タンクの水がなくなって来たらポンプの電源を落として、再度貯水タンクを満タンにします。
水の循環開始
9:46 水の循環開始
繰り返して行くと上段の塩ビ管装置の内部が水で満たされ、排水された水が中段の装置へ、中段が満たされれば下段へ、下段もいっぱいになれば貯水タンクへ水が戻って来ます。
水が循環出来るようになるまで水を足し続けます。
発泡スチロールと苗をセット
10:28 発泡スチロールと苗をセット
先ほど切り出して穴を開けておいた発泡スチロールに苗をセットしていきます。
発芽させた種をスポンジに植えておいた「スポンジ苗」をあらかじめ育ててあったので、スポンジ苗を育苗ポットにに差し込み、ポットを発泡スチロールの穴に差し込みます。
苗をセットした発泡スチロールを貯水タンクの水面に浮かべておけば、後は勝手に成長してくれます。
LEDライトの設置
11:47 LEDライトの設置
太陽光でレタスを育てる為に窓際に水耕栽培装置を作ったわけですが、室内だと日照角度や時間帯によって十分に光を当てる事はやはり難しいです。
日照不足を補う為に(太陽光も使いますが)LED蛍光灯を設置します。
照明器具が要らない、コンセントを挿すだけで発光するものが便利だなと思ってて、それらを連結コードで連結させて使用しました。
1本1000円位の安いLED蛍光灯ですが問題なく使用出来ます。
電気代ですが、24時間1ヶ月照射し続けて1本あたり300円位です。
スマートプラグの点灯時間設定
12:13 スマートプラグの点灯時間設定
朝方から夕方にかけてはそれなりに太陽光を浴びることが出来ますが、それ以外の時間はLED照明を使いたいと考えます。
いちいち照明のオンオフを手動でやるのも面倒なので、スマートプラグを経由して設定時間になったら自動で照明のオンオフが出来るようにしました。
タイマー式のものでも代用可能ですが、例えば日中でも曇ってて太陽光が十分でない日などは、アプリから手動で点灯させたりも出来ます。
ライトの自動点灯実験
12:48 ライトの自動点灯実験
実際に指定した時間に照明がつくのか実験しました。
夕方4:30に点灯するようにセットしたところ、5秒ほどタイムラグがありましたが無事点灯しました。
消灯を朝方5:00にしており、消灯のタイミングは(その時間まだ寝ているので)確認できていませんが、朝起きてLEDを見てみるとしっかり消えているので、こちらも問題ないかと思います。
失敗したけど改善したこと
暖気は上へ上へと上がっていくので、半地下のスペースと、2階スペースでは室温差が結構あります。
室温が高くなると当然水温も高くなり、水温が高くなると酸素が水に溶けずらくなるらしい事を知りませんでした。
2階水耕栽培装置に育てていた苗を定植して1日、2日経過してくるとレタスがだんだん元気がなくなって来てしまい、根腐れのような症状が出始めました。
小さな水槽で使っていたエアーポンプ1台のみを稼働させていただけだったので、酸素不足になってしまったようです。
まずはエアーポンプをハイパワーなものに変えました。
ついでに排水部の部品を回して塩ビ管内の水位を若干下げ、根に直接空気が触れられるようにしました。
根腐れた部分をカットしたあと定植し直して数日後、スポンジから新たに白い元気そうな根が生えて来たのが確認出来たので、水温と酸素量は気にかけた方が良いかもしれません。