この記事公開から2年ほど経って今は2017年暮れとなりました。
飲食店を営んで5年とか経つくせに未だに回っていない寿司屋のカウンターに座った事がない。
この日は平日で友人と夜10時位に二人で飲んでおり、二次会場所が決まらなかったので迷った挙げ句二人とも未経験である寿司屋のカウンター飲みを敢行することにした。
目次
まずは行く寿司屋を選ぶ
寿司屋カウンター飲み未経験、ド素人の僕らが何も調べずに回らない寿司屋に入るのは非常に危険だ。マルバツクイズで正解だと思う立て看板に助走をつけて思いっきり飛び込んだら不正解で泥のプールや熱湯風呂にダイブしてしまう位危険。
なぜそれほど危険かというと回らない寿司屋は基本「値段設定がない」と考えているからだ。その日の気分で寿司屋の大将が会計金額を決めると思い込んでいるので、そうではない、自分の小遣いで行ける程度の寿司屋を選ばなくてはいけない。でないと破産する。
なのでまずは下調べ。
ぐるなびで調べたり、僕らよりリッチで寿司屋カウンター経験がありそうな人に電話したりして、ようやく行くべき寿司屋が決定した。その名も櫓(やぐら)鮨本店。ここは北見と呼ばれる町である。
facebookページもあるようです。
寿司屋だってSNSを駆使します
寿司屋はSNSなんて使わない、常連さんの口コミでお客が来るものなのであるという僕のイメージは偏見に過ぎず、寿司屋だってfacebook等のSNS使うようだ。
寿司屋の大将はSNSの達人である。
「今日の活タコまじ新鮮、是非来てねー」とtwitterで呟いたり「#寒ブリ#超新鮮#北見#寿司」とインスタにアップしているのだろう。未知の世界、寿司屋へようこそ。
などと調べたり妄想している間に30分も経過し夜10時半位になってしまったが、櫓鮨本店さんは深夜0時位までやっているらしく(シャリがなくなったら終了)、しかもある一定の時間になると寿司が半額になるという情報を手に入れた。
寿司。
半額。
我々貧乏人にはなんとっも優しいお店なのかもしれないが結局大将の気まぐれで会計額は乱高下するに違いない。真相を確かめるべく櫓鮨さんへと向かう。早く向かわないと閉まっちゃうし。
さっそく櫓鮨に入店してみる
早速入店、カウンターに5名程度、奥の小上がりにも5名程度と、なにやら普通に賑わっている様子。こんな時間のこんな平日にこれほど大勢のお客がいるとはさすがは櫓鮨といったところか。
これだけのお客がいれば我々がカモにされることはないだろう。寿司屋のカウンターを知り尽くした風に堂々と、そして力強く僕は言った。
僕「あの、2人なんですけど入れますか?」
緊張のあまり震えた声で大将の奥さんらしき店員さんに聞いてみると、小上がり席でもカウンターでも大丈夫ですよと言われたが、今回の目標は「寿司屋カウンター飲み」であり、小上がりに座ると本末転倒になるので「カウンターで」とまたまた声を震わせながら答えてようやく着座した。
どいつもこいつも社長に見える問題発生
寿司屋でカウンター飲みしてるなんて社長に違いない。もしかしたら何らかの罪を犯してしまい、刑務所に入る前の最後の晩餐を楽しんでいる奴も混じっているかもしれないが、十中八九全員が社長、そして女性客は全員社長の愛人に違いない。
メニューに価格が表記されている
メニューを見てみるとしっかり価格が表示されている。全部時価とか、価格非表示とかはなさそうだ。ちなみに本日はナケナシの1万円を握りしめて来ている。二人合わせて2万円だ。それを超えなければいい、超えたら皿を洗えば出た分が免除されるシステムになっているはずだ。
うっかり1万円を落とすと大変なので両ポケットに3千円ずつとお尻ポケットに4千円、お金を分散させる事でリスクを回避している。何事も準備が大事。
まずは飲み物を注文してみる
何はともあれまずは飲み物の注文だ。友人はビールを頼んでいたが寿司には日本酒というくだらない固定概念が僕にはあるので日本酒を注文する事にした。大将に、大将の奥さんに舐められてはボラれる可能性だって拭えないので堂々と、カウンター飲みを知り尽くしたていで僕は言った。
僕「日本酒ひやでください」
奥さん「ここ(冷蔵庫)から選べますけど?」
僕「味音痴なので適当で」
そう、僕は味音痴なのだ。どんな銘柄の日本酒を出されても、それが高かろうが安かろうが、僕は日本酒としか認識できない絶対的な自信がある。
とりあえず空気を読まないビール党と味覚音痴が乾杯した。
寿司屋を知り尽くした嫁が妨害してくる
ようやく寿司を注文しようとしたら嫁から電話がかかってきた。寿司屋カウンター飲み初体験の僕は、寿司屋カウンターで電話に出る行為が寿司屋に対して失礼に値するのではと勘ぐった。映画館で大声で携帯で話すヤツなどいない、いたとしても非常識なヤツであり、寿司屋と映画館は同じ可能性がある。
寿司屋 = 映画館
加えて周りのお客は社長ばかり。
なので嫁からの電話を一旦無視し、ラインでのやりとりに切り替える。携帯をいじる事自体が失礼にあたるかもしれないが、嫁の連絡を無視しっぱなしでは夫婦の関係に亀裂が入るのだ。
嫁からの寿司屋飲み妨害のライン、嵐の如し
なにやらすでに怒り始めている。電話に出ないだけでこの怒りっぷり。このラインを無視すると取り返しのつかない事態を招きかねないので、寿司屋さんへの無礼を承知で返信。
ラインのメッセージが怒濤の様に押し寄せてくる。「いみふ」や「しゃべれよ」など僕の人権を無視して罵詈雑言を浴びせかけてくる嫁。そんな中で僕は寿司屋のカウンター。携帯をピコピコいじっていられる状況ではないのだ。寿司屋で携帯はマナー違反なはずだ確か。
そんなやりとりをしていると「どんなとこよ」と言われた。僕は寿司屋のカウンターにいるのだ。昔はスナックで働いていて、お客さんの同伴などで様々な寿司屋カウンターに座った経験を持つ嫁にはわからないかもしれないが、僕は今自分のお小遣いで、手に汗握りながら生まれて初めて寿司屋のカウンターに座っているのだ。
右も左もわからないのだよ。
まあ幸い嫁は「もう知らん」と言っているので放っておくことにした。
寿司屋はシステマチック
というか今だに寿司を注文していない。不毛なやり取りで時間だけが過ぎていく。これでは大将に申し訳ないので、初体験がばれない様に常連気取りで威風堂々と寿司を注文する。
僕「お寿司を注文してもいいですか?」
また声が震えた。注文の度に精神がもっていかれる。
大皿に寿司を乗せるシステム
20センチ四方の大きなお皿が目の前に出され、その上にちょんちょんとガリを置く大将。この大きなお皿に握り立ての寿司を乗せていくらしい。ほうほうなるほどシステマチック。
大将「何にしますか?」
僕「わからないので適当に5貫ください」
言った後気づいたのだが「適当に」ではなく「おまかせで」という言葉を使えば良かったと後悔した。「適当に」なんてあまりにも大将に失礼ではないか。
緊張していると素が出てしまい教養の無さが露骨に出るので非常に危険だ。常に心にゆとりをもって安全運転をしないといけない。
好き嫌いの多い友人のオーダー
友人は好き嫌いが非常に激しいので適当いやいやおまかせでは厳しいらしくメニューから選ぼうとしている。
友人「僕は好き嫌いが多いので…」
そう切り込む友人。こんな時間(夜10時半を過ぎている)にメニューから頼んでも大丈夫なのだろうか。「こんな遅い時間に面倒なこと言ってんじゃねえ!」などと罵られ、大将の機嫌を多いに損ねる恐れがある。
大将「何が嫌いなの?」
友人「魚と肉は大抵大丈夫」
そんな大雑把な答えがあるか。大将はそんな大きくカテゴライズされた答えは望んでいないはず、そんな事は僕にでもわかる。友人と大将の話が噛み合わなかったようで、僕のおまかせ5貫の中から選んで注文することにした。
慣れてきたのでチャレンジしてみる
飲みも進んで緊張もほぐれてきたので、飲み物をおかわりし、さらに2貫ずつ注文し、つまみが欲しくなった僕はちょっとだけチャレンジしてみる事にした。
僕「お刺身とかできますか?」
今考えたらおかしな話だが、刺身ができない訳がない。目の前には刺身のネタしかないじゃないか。
飲み物をさらにおかわりし、刺身の盛り合わせを平らげ、最後にお吸い物みたいなものをもらって、僕らの「寿司屋カウンター」デビューは終了した。
寿司屋の会計
ここまで来て唯一気がかりなのがお会計だ。日本酒は全て適当いやいやおまかせで頼んでいる。もしかしたらものすごい高いのが混ざっている可能性だってある。しかも僕は1万円しか持ってきていない。1円でもオーバーすれば即死、一生皿洗いで罪を償わなくてはならない。周りの社長連中に海外に売り飛ばされる事だってあり得るだろう。
最後に頼んだ刺身の盛り合わせだって実は普段そんなことやっていなく、多額のサービス料が加算されているかも知れない。
奥さん「お会計7800円になります」
二人合わせて7800円。なんだ、いたって普通の金額じゃないか。ありがとう大将、と奥さんらしき店員さん、そして櫓鮨さん。
まとめ
という事で今回初めて寿司屋カウンター飲みを敢行した訳だが、なかなか良いものだという結果となった。
価格非表示でもなく、大将の気分で会計するわけでも多分なく、多額のサービス料を取られる事もなかった。
また、システマチックな提供方法をとることも判明した。
金額もだいたいわかったので、また来店したいと思う。
つきあってくれた友人ありがとう。そして大将と大将の奥さんらしき店員さんありがとう。
嫁にお土産を買う
ちなみに嫁さんが怒っている可能性があった為、セブンイレブンで中トロ巻き寿司と納豆巻きをお土産に買っていったら、半端に残った納豆巻きが次の日の僕の昼飯になりました。