ナターシャと僕 〜ビビりな僕と寛容なロシア女性の妄想恋物語〜

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これは、土屋アンナにも似た背丈が僕の肩ほどのロシア人女性を抱くことができなかった、一歩踏み込む勇気が無かった青年(小野)の淡く切ない恋物語である。

小野の長々文です。5000文字もあります。暇な人だけ読んでください。

また妄想も入っているかもしれません。読み進めて気持ち悪くなったらすぐに読むのをやめましょう。ちなみにサムネは土屋アンナです。

その頃僕は札幌の豊平区に住んでいた。

地元での仕事を辞めて札幌に移住したのは、本気でプロのバンドマンになろうと思っていたからである。当時の所長に会社を辞める理由を聞かれ「バンドやりたいです!ライブやりたいです!こんなに長時間働いてたらライブできない!なので辞めたいんです!」と、雑誌「バンドやろうぜ」バリに熱々の思いをぶつけ札幌へやってきた。

中学校が一緒だった同級生の男が札幌で一人暮らししていたので、そいつの部屋に居候させてもらい、ピザの宅配や居酒屋店員など色々掛け持ちした。バンドで成功する夢物語を当時のバンドメンバー(ギター担当)と飲みながら語った。売れないバンドマンのフリーター生活の始まりである(居候先の同級生と当時のバンドメンバーは別人です)。

僕がギターとたまに飲みに行く場所に、外国人がよく集まるクラブのような場所があった。出入りは自由、自分の飲み物はカウンターへ行ってその場で現金払い。もちろん席料なんてない。田舎ものの僕らにはなじまないシステムだが外国人にはなじみ深いシステム、僕らはそこで飲む行為がなんだか都会人になった気持ちになれた為好きで良く通った。

その日も僕とギターでその店に行くと、店の角のテーブルに彼女はいた。3人の外国人女性グループのうちの一人である。高めのテーブルに肘を乗せグラスを傾けている。彼女は黒髪で長髪、短身で端正な顔立ちをした欧米風の女性(黒く染めていたのかもしれない)、もう一人は赤茶色の髪の快活な女性、もう一人いたが今は顔も思い出せない。

僕は黒髪の彼女に死ぬほど一目ぼれした。色んな意味で近づきたい。酔っ払って女性に声をかけることは今まで何度かあっても、その相手が外人であった事は(ないことはないけどそんなには)ない。しかも黒髪長髪外国美人。例え酔っていたとしても声をかけるには勇気がいる。

今、彼女とお近づきになれるチャンスを逃してもまたどこかで会えるだろうとは思わない。だろう運転は基本事故を招くが今回ばかりは教習所で習ったものとは正反対だ。もう二度と会えないかもしれないというかもしれない運転に切り替えない限り良い意味でも悪い意味でも事故は起こらない。

彼女に声を掛ける決意をする数分の間にも強い酒が飲まさった(北海道弁、飲んでしまったの意)。普段なら酩酊状態、意味もわからなくなりそこかしこで小便を垂れ流しては気づけば歩道脇の花壇で寝てしまう程の酒を飲んでいと思うが、どれだけ飲んでも声をかけるという緊張からほどんど酔えず、意識ははっきりしていた。飲んでばっかりいないで早くイケ。

「こんばんわ、一緒に飲みませんか?」的なことを片言の英語を駆使して話しかけたと思う。彼女は日本語が話せなかったので、僕とギターの二人、一生懸命片言英語で話しかけた。その一生懸命な部分が面白かったのか、彼女らと数十分の時間を過ごす事ができた。

だがしかし、日本語と英語の壁、最初は面白がってくれたとしても少し込み入った話しをしようにも語学力がない。コミュニケーションが取れなくなってくると徐々につまらなくなってくるのだろう。笑顔で「バイバイ」と言って彼女らは去って行った。

彼女の名前はナターシャ、ロシア出身。その赤茶色の髪の女性はスペイン人、もう一人はわからないが簡単な会話の中でそういう部分までは判明した。後にわかるがナターシャは愛称であり本当はナタリアという名前らしい。ナターシャという名前を聞いて、つたない英語でコミュニケーションを取り、更に彼女らとその場にいれた事に満足して電話番号聞きそびれた事に気づいて僕はひどく後悔した。

それから数週間、季節は夏だっただろうか、札幌の大通り公園では大規模なビアガーデンが開催されていた。毎年開催されるもので、道路添いにある長い公園はいくつものブロックに分けられており、両脇にある仮設のお店でビールや食べ物を買う。

ギターと僕はそのビアガーデンに行く事にした。そういった場所で売られているものの相場は高めに設定されているのが常だ。僕ら貧乏バンドマンはコンビニでお酒を買い、ある程度酔った状態で突入する事により安上がりでお祭りの空気に触れる事ができる。

天気が良かったおかげか、区切られたどのブロックでも設置された椅子とテーブルには人が座っている。田舎者の僕からしたらあり得ないほど人が密集している。座る事ができない人達は僕らの前から後ろからひっきりなしに歩いては席を探しており、立ち止まる事すらできないほどごった返していた。

「札幌は都会だぜ」なんて言ったかどうかは覚えてないがそんな感想。一旦落ち着こうと露天脇の狭いスペースをひょいと抜け、整然と植えられている大きな木の下に来た。ビアガーデンの照明は露天で遮られ、道路側の照明もあまり入らない薄暗い空間である。

禁煙か喫煙かは知らないが夜ももう7時半を回る頃、かなり暗いしばれなきゃ大丈夫、僕らはタバコを吸ってひと息ついた。「札幌は都会だぜ」なんて思ったかどうかは覚えてない。紫煙を吐き出しふと数メートル先の暗がりに目をやるとナターシャがいた。

これは運命なのだ。あまりの興奮にその時はどう近づいて何を話ししたのかは覚えていない。が、その時の偶然がきっかけで僕はナターシャの電話番号を聞く事ができ、その後も嫌われない絶妙な頻度で連絡をしては飲んだ。

僕はだらしない。特にお酒が入るとだらしない(毎日飲んでるので基本毎日だらしない)。勝手に居候先で友人を呼んで飲んでは騒いだり、洗濯しても回しっぱなしで干さなかったり、一度お湯を沸かしたまま寝てしまいヤカンが燃えそうになったりした事もあり、僕のせいで居候先の同級生との関係がギクシャクしてしまい、出て行く事になった。

札幌の不動産屋に勤務している友人がいたので、なるべく安い物件を探してもらったら、居候先から歩いても10分ほどの近所だった。お金がない学生が住む感じの1ルームではあったが家賃は4万もしなかったし、即決して引っ越した。

バイト先のピザ屋には僕のようなフリーターもいれば大学生もおり、結構年が近いやつもいたのでバイト先の同僚とは割と仲良くなれた。その同僚のうちの一人は異様に明い男だがどことなくつかみ所のない男だった。自分の過去をよく話すのだがその話しの規模が少し大きく本当かどうかわからない、昔はF1みたいな車に乗ってたとかレースしてたとかそんな男だった。バイト先が同じだったのでたまに飲む仲間だ。

嫌われない程度にナターシャに連絡を取り、僕とその同僚、そしてナターシャとスペイン女性の4人で先の外国人が集まるお店に飲みに行ったりもした。そんな仲だったはずなのに今思い返そうとすると具体的に何をしてたのか思い出せない。

皆で海に行ったかも、同僚の車でドライブしたかも、飲んだ後普通にカラオケとかに行ってるかもしれないし、もしかしたら彼女たちは少し日本語話せていたかもしれない。全部がかもしれない。ナターシャに関して重要な部分はなぜかあまり思い出せない。

気がつくと僕はナターシャと二人で自宅にいた。夜は12時を過ぎていて、何のムードもない白色蛍光灯の明かりが恥ずかしかったのか豆電球のみが灯っている。BGMはパソコンから直接出していた為、薄暗い部屋の中でwindows media playerの青っぽい画面が目に入る。さながら監視室のようだ。

パソコンから流れている曲はBoyz Ⅱ MenのI Swear。win-mxかなんかでダウンロードしたのだが、ネット環境が悪かったせいでダウンロードがうまくできず、曲の始まりだけが「I swea…I swear」といった風に傷ついたCDのような状態で流れている。しかしそんなこと気にした様子もなく僕とナターシャは寄り添って小さめのソファに座っている。

ようやく抱き合うまでたどり着いた。果たしてそこに至るまで何時間かかったのだろうか。何時から二人で部屋にいたのか、他に誰かいたけど皆帰って僕ら二人になったのか、その時はお酒を飲んでいたかもわからないが、今はとにかく二人で抱き合っている。

僕の事を男として少しでも良いと思ってくれていたのか、別にそんな気持ちはなくてもそもそもロシア人女性はこの様な一夜限りの出来事に対して寛容なのか、そんな事は想像してもわからないが、このまま男女として事を進めても問題のない状況なのは自分でもわかった。

ナターシャの背中に手を回すと下着の感覚が指先に伝わってくる。外せるものは全部外したいし、直接体に触れたい。だが僕はその次に踏み込める事はなかった。薄暗い部屋にはwindows media playerの青っぽい光と、ソファの上で抱き合ったまま動かない二人、そしてその中でBoyz Ⅱ MenのI Swearがリピートされ、その曲の出だしは必ずカクカクする。

そのまま一緒に寝たのかもしれない。または交わらない事を察したナターシャはなんらかの方法で朝を迎える事なく帰路についたのかもしれない。キスすらできなかったのかもしれない。しかしはっきりと覚えているのは、抱き合った部分は事実で、交わらなかった事もまた事実。

後日、同僚からスペイン女性と一夜を共にしたよとの連絡があった。やはりスペインは情熱の国だなという風な事を言っていた。同僚はスペイン女性とマッチしたのか。同僚のあの性格、そして情熱的なスペイン女性(先入観)、同僚とその女性は起こるべくして起こったようだ。

僕はといえばどうだろうか。許してくれているであろう彼女の意思を自分の勇気の無さで無下にした。何もしなかった、いや、何もできなかったのだ。行為の手順は知っているし実際経験だってあったのに何もできなかった。据え膳食わぬは男の恥。超恥っかき。もしかしたら彼女にも恥をかかせてしまったのかもしれない。勇気持たない自分をどれだけ責めてももう遅かった。

その後、ナターシャはロシアへ帰る事となった。新千歳空港からの出発当日、昼くらいの便で帰国する。僕は前日飲み過ぎたのか、バイトが忙しかったのか、はたまた帰国の連絡をギリギリに受けたのかは定かではないが、彼女の出発を見送るのにギリギリ、昼前ほどに起きた。

車で飛ばす。とにかく飛ばす。もう二度と会えなくなるだろう。それをわかっていて何もできなかったあの日の夜。勇気がなかった自分を情けなく思う、なのにこの期に及んで彼女を見送る為に車を飛ばしている自分自身の女々しさ、なんと気持ち悪い男だろう。

それでも行かないといけない。ようやく空港に到着し、ナターシャに電話をしたところ何らかの事情で便が遅れているらしい。空港内で会えた時には付き添いの外国人と二人で行動しており、挨拶はしたがどことなく僕が介入する雰囲気ではなかったのでその場を離れた。

出発時間になりゲートで見送った。もう会えないがどうしようもない。僕に勇気があればなんらかの結果を生む事が出来たかもしれないが、僕はここぞという場面で何もしなかった。そして女々しく見送りに行ったのだ。見送りなんて誰でも行ける。

出発のあと、空港にギターが駆けつけてくれた。もしかしたら出発前に空港に来ていたかもしれないがそれもあまり覚えていない。夕方、ギターとナターシャが通っていた施設(国際交流なんちゃらかんちゃらだっただろうか)に訪れた。

施設のロビーのソファに二人で座り、後悔の念をギターに伝えたと思う。そして彼はそれをだまって聞いてくれていたかもしれないし、何か言ってくれたのかもしれない。とにかく僕の初恋(ロシア人限定)はこれを持って終わりを迎えた。

結局、ロシア人が怖くてヤれなかったという話なんですが。

何故だかナターシャと関わった部分の記憶の欠如が激しいのである。重要なとこだけは断片的に、だけどはっきり覚えているのですがその他の部分はすっぽりと抜けています。

もしかしたらナターシャの存在は僕が作った幻だったのでしょうか。

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オノゲンキ
北海道で小さな焼鳥屋を営みながら暇を見ては家でブログを書いたり動画を編集したりイラストやイラスト風文字を書いたりしているので全く外出しません。職業柄酒はよく飲み、一度飲み始めると止まりません。嫁と娘2人、そして犬1匹と平凡に暮らしているので刺激が欲しいのです。誰か刺激を下さい志茂田景樹じゃなく刺激です。
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