関西弁が半端にうつった彼女が今でも好き。ちゃうわ、ちゃうちゃう、ちゃうんかい!

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友人が北海道に帰ってきた。

札幌から北見工業大学に入学後ストレートで卒業し、関西地方に就職、そして季節は秋、連休が取れた彼女は大学時代を過ごした懐かしの友人に会うべく北海道に帰ってきた。

 

久しぶりの彼女の帰北に4名の友人が集まった。4人は全員男で浪人組。何をやっているんだ、しっかりせねば。4人の中でも僕とAは特に仲がよかった。

 

大学の頃、僕は彼女の事を意識していた。いつも一緒に遊ぶ友人からいつの日か恋愛対象に変わっていたのだが、僕が彼女に告白することはなかった。告白することによって壊れるかもしれない5名の友人関係、いや、そんな事ではない、ただ、勇気がなかったのだ。

 

「本当はAの事好きなんじゃないのー?」とからかう僕に「ちがうよー!」と返す彼女。好意が邪魔して意図しない質問をしてしまう。「ちがうよー!」と笑う彼女の顔を見ているだけで幸せだったのかもしれない。

 

僕等は居酒屋で彼女との再開を祝して乾杯した。

 

まだ大学を出てから半年ほどしか経っていないのにこんなにも懐かしい気持ちになるんだな、大学在学中の思い出や彼女が就職してから出来事など酒を飲みながら色々話した。

 

 

在学中、僕等5人は毎日のように一緒にいた。昔のように変わらない風景。

 

思い出されるあの頃の気持ち。

 

Aの隣に座る彼女に「大学の時はAの事気になってたんじゃないのー?」と聞いてみた。今だ微かに残る彼女への好意、Aに対するちょっとした嫉妬、からかって彼女が困る顔が見たいという子供じみた願望、気持ちよく回ったお酒が後押しした。

 

 

 

「大学の時はAの事気になってたんじゃないのー?」

 

 

 

「ちゃうわ!」

 

 

 

 

「本当はAの事好きなんじゃないのー?」とからかう僕に「ちがうよー!」と返す彼女。好意が邪魔して意図しない質問をしてしまう。「ちがうよー!」と笑う彼女の顔を見ているだけで幸せだったのかもしれない。

 

 

 

 

「大学の時はAの事気になってたんじゃないのー?」

 

 

 

「ちゃうわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めっちゃ関西弁うつってる。

めっちゃ関西弁うつってるよこの人。

やばい、すごい気になってきたコイツの関西弁。

 

気付くと好意とか思い出話とかなんか色々頭からぶっ飛んじゃってコイツの関西弁ばかり気にしちゃってる自分がいる。しかも、しかもだ。ちゃうわ以外は全て標準語で話しているだ。会話のほぼ全てを標準語で話しているにも関わらず否定する時のみ放たれる「ちゃうわ」という呪文。

 

もしかしたら、想像だけど、彼女は関西の会社でそこの上司に毎日何回も「ちゃうわ」と言われているのかもしれない。新卒だし、まだ仕事もそんなにできないのは明白だ。だから、彼女の仕事ぶりに上司は「ちゃうわ」を連呼しているのだ。

 

彼女の上に毎日のように降りかかる大量の「ちゃうわ」の雨。押し寄せる「ちゃうわ」の波。「台風ちゃうわ」本体が近づく前から局地的にバケツをひっくり返したような「ちゃうわ」の雨がどったらこったら。

 

幼稚園児が繰り返しママが言う事を覚えて友達に同じ事をいうあの現象ときっと同じだ。「お片づけしないと鬼来るよ!」とママがいつも言っていれば友達に「おかたづけしないとおにがくるんだよ~!」と言う。

 

関西弁。恐ろしい洗脳。ちゃうわと言われ続けた彼女は否定の時のみ反射的にちゃうわを発動するマシーンになってしまった。僕が好きだった彼女は今となっては全自動ちゃうわ発動マシーン(オープン価格)。一家に一台。

 

完全に染まってくれればいいのだ。関西弁が完全に伝染してくれさえすればこんな複雑な感情は生まれないし彼女は人間のままでいれたのに中途半端にちゃうわの部分だけうつるから。

 

しかし彼女だけを責めるべきではないのかもしれない。関西弁初心者アルアルなのかもしれない。関西弁を学ぶにあたって最も低いハードルがちゃうわなのだ。英語でいうならハローにあたり、観葉植物でいうならポトスで、資格でいうなら食品衛生責任者であり、アクティビティなら自宅ヨガにあたる部分が関西弁ではちゃうわで、そこから全てが始まるに違いない。

 

誰しも最初は初心者であり、関西弁を猛勉強中の彼女を責める理由は何一つないのだ。なのに僕といったら練習中の彼女に変な感情を抱いてしまい、挙句の果てに全自動ちゃうわ発動マシーンであると。ちゃんちゃら可笑しい。自分の懐の小ささには笑わずにいられない。

 

僕が今彼女のためにできる事はちゃうわの引き出しを増やしてあげる事のみ。ちゃうわは言ってしまえば原型であり、drive、drove、drivenと変化することを踏まえると「ちゃうわ」「ちゃうちゃう」「ちゃうんかい!」まではいきたい。僕に課せられた使命。

 

「本当は男でしょ?」

「ちゃうわ!」

「両親とも火星出身だよね?」

「ちゃうわ!」

 

まだだ、

 

「チャイニーズ・エディブル・ドッグ(英: Chinese Edible Dog)、ヘイ・シー・トゥー(英: Hei She-Tou)などとも呼ばれ、特にスムースコート種はシャン・ドッグ(スムースコーテッド・チャウ・チャウ)とも呼ばれているふわふわで茶色でちょっとブサかわな犬は?」

「ちゃうちゃう!」

 

よし、きた、ちゃうちゃうを引き出しに成功だ。

 

「風神雷神?」

「ちゃうわ!」

 

「drive、drove…?」

「driven!」

 

 

「speak、spoke…?」

「spoken!」

 

 

「fight、fought…?」

「fighten!」

「ぶぶー!」

「ちゃうんかい!」

 

終わり。

 

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